高級ギターは木工の技術や工芸品的な技術に走りがちなギターが多いですが、プレイヤー気質の私のような人間には“音”や“弾き心地”、“バランス”が最優先になります。もちろん“カッコいいこと”が1番ですのでギターの持つ、思わず目を奪われるような“たたずまい”や“オーラ”も大切にしています。そして、道具として使える価格であること!!そんなBelialの理想を叶えるための“こだわり”を作業写真と共に楽しんでいただければと思います。
こだわりのシェラック塗装







“音”のためにベリアルでは全モデルにシェラック塗装を採用しています。音の立ち上がり、レスポンス、木の倍音量、サスティーンなど石油系の塗料とはレベルが違います。
20~40回塗り重ねて奥深い色合いと艶を出していきます。
ベリアルを弾いていると、最近のピカピカ塗装のギターを弾くとプラスチックやウレタン(樹脂)の音が響きに混ざって聞こえるようになります。
“違い”がわかってしまうともう戻れません(笑)。
ブレイシングは30年代マーチンを基本に
Belialアコギはすべて伝説の30年代マーチンのスキャロップド・ブレイシングを基本にしています。
強度とサウンドのバランスは往年の名器達が証明してくれていますよね。
そこに年代物のスプルースや特徴のある高品質なサイド&バック材を組み合わせて、上質なBelialサウンドを生み出しています。
エレキギターからのアイディアも柔軟に取り入れて、弦振動を理想の音に昇華するべく日々研究しています。









こだわりのネックシェイプ









Belialギターのネックはお客様の好みをできるだけ反映しながら、私が1本1本削りだしています。
手削りのネックのフィット感は、CNCルーターで削り出された量産品とは明らかに違います。
持った瞬間に手に吸い付くような感覚は感動的です。
目で見れば直線でも、実際に握りながら手削りすることで非対称な箇所や微妙な凹凸が生まれ、自然に手に馴染みます。
熟練の“感覚”を最優先した強靭なネックはBelialの自慢です。
こだわりのフレット打ち
フレットに関しては並々ならぬこだわりがあります。ギター製作をスタートする前はリペアショップや楽器屋さんにフレット交換をお願いしていたのですが、いつも音が鈍っていて不満がありました。そこで、何が原因でそうなるかを解明して200本近いギターのフレット交換をしながら検証していきました。
フレット交換で響きや音質が改善することが実証された段階でギターを作り始めました。
ベテランルシアーからもBelialのネックからは“哲学を感じる”と評されるほど手間を惜しまずしっかりと打ち込んでいます。











こだわりのニトロセルロース塗装














Belialではアコギorエレキを問わず、シェラックでの下地塗装にラッカーでコーティングするのですが、ラッカーも純粋なニトロセルロースラッカーを使用しています。
オールドギターと同じように経年や使用によってどんどん味がでてきます。
傷がつきやすい弱点はありますが、そこも魅力だと考えています。
ニトロセルロースならではの艶感と、何十回も塗り重ねて生まれる風合いは最近のギターではほとんど見られなくなりました。
ウレタン塗装やアクリル塗装のようなツルツルピカピカのギターがお好きな方には向きませんが、木の感触を感じたい方には堪らない塗装になっています。
若干のライトレリック仕上げになりますので、オールドギターと並べても引けを取らない雰囲気を最初からまとっています。
レスポールのゴールドトップには昔と同じように金属の真鍮の粉を吹き付けています。
こだわりのヘッド角
Belialギターではヘッド角をオールドギブソンと同じ16°~17°に削り出しています。このヘッド角による絶妙なテンション感と響きは独特でぜひ体験していただきたいポイントです。


こだわりのネックジョイント








フェンダーのネックジョイントについてもこだわっています。通常より厚いネック材を使用して、ポケットを深く彫り込んでいます。
そのことによって、ネックとボディの接地面がよりボディの中心に近くなることが狙いです。
私の経験からフェンダー系のギターは接続部に少しの遊び(隙間)があった方が、耳につく嫌な高音域などがスポイルされて欲しい帯域がしっかり出る印象があります。きちんと木組みし過ぎると私の理想のフェンダー音にはならないので、ネックポケットとネックに0.5mm程の差を付けてあります。
こだわりのパーツ選び
パーツ類もこだわりを持って選んでいます。
ポッド(CTS)、スイッチ(USA製)、ゴトーペグ、各ギターに最適なブリッジ(スチールやアルミの選択)、配線ケーブル、ナット&サドルの素材(オイル漬けの牛骨)、フレット(ジェスカー)、ブリッジピン(水牛角)、ビスにいたるまで購入後に改造の必要のないパーツを選んでいます。
無駄に高級なパーツを使いすぎないのもコツで、木の響きを素直に伝えることを大切にしています。高級パーツを使うことで、本来必要ない響きが混ざってしまい良い結果を得られなかった経験が多々あります。









トップ割れ修理の風景





アコギのトップ割れは裏側からスプルースから切り出したパッチを、ギターペグを利用した専用工具と針金で固定して貼っていきます。
その後、割れている隙間にタイトボンドなどの接着剤と木の粉を埋め込んで固定します。
最後に塗装&磨きを経て完成です。
ボディ切り出し風景
厳選した材を切り出していきます。
ここから木に命が吹き込まれていくのですが、毎回ワクワクする瞬間です!!
アコギはここからブレイシングを貼ったり、曲げたりの工程に進みますが、エレキはピックアップやアッセンブリー、コントロール部などの彫り込みをしていきます。













アコギ材は厚み出しが命












アコギの音を決めるもっとも大切な要素は“材の厚み”だと感じています。
ベリアルでは、1枚1枚同じ厚さに削るのではなく、その材が鳴り始める厚みになる瞬間を見逃さないように0.1mm以下ずつ何度もベルトサンダーを通して決めていきます。
つまりすべてのギターの材が同じ厚みではなく、そのギターに最適と思われる厚みに設定されていくわけです。
強度と音色、音量などバランスを考えて1枚1枚削っていきます。
コンデンサーは標準でオールドを使用
高級ギターでも電子パーツや配線材はしっかりしていても、コンデンサーは安ものだったりすることが多い中、Belialでは基本仕様としてオールドのコンデンサーを採用しています。
音の最後の仕上げスパイスとしてコンデンサーはとても大切です。
バンブルビーを始め、ワックスペイパー、ブラックビューティ、グリーニーなどその都度選ばせていただいております。






ネックジョイントは基本のダブテール




アコギのネックジョイントはボルト接続など金属を混ぜる形ではなく、純粋な木を響きを大切するためにも、基本的なダブテール・ジョイントを採用しています。
ネックの仕込み角も合わせながら1本1本削り出しています。
ヘッドアクセサリーもBelialならでは
Belialギターでは思い出のアクセサリーなどをヘッドに彫り込んで装着するオリジナルサービスを行っています。
ヘッドには通常、貝細工や木細工での装飾が普通ですが、ベリアルでは大胆に立体で飾ります。
アクセサリーは提携しているアクセサリー作家から仕入れることも可能ですので、サンプルの中から選んでいただくこもできます。
手軽に自分だけの世界に1本のギターを作ることができます。












こだわりの木材









近年の木材の高騰や枯渇によって仕入れが難しくはなってきていますが、できる限りの良材を使用して製作させていただいております。
20年~30年乾燥させたスプルースなども、今でしたら手に入ります。
数十年乾燥した材で作ると、最初からこなれたオールドギターのような音が鳴りますよ。
在庫に限りがある貴重材もありますので、この機会を逃さずにお早めにオーダー下さい。
こだわりのロングサドル
アコギのブリッジは基本仕様として、“憧れの”ロングサドルを採用しています。
弦間が広いので指弾きの際に右手がとても楽ですし、音の分離感も格段に良くなります。
オプションで通常の狭いブリッジに変更することもできます。
ロングサドルな分、指板も若干広くなりますのでルックスも迫力が出ます。
30年ライクなルックスはカッコいいです。






ネックの切り出し風景







良質なマホガニー&メイプルを丁寧に1本1本切り出していきます。
ネックの質量が大切だと感じていますので、ベリアルのネックは基本的に太目ですが、お客様の好みに合わせてフィッティングしていきます。
近年多い細すぎるネックは単純に“鳴る”ための質量がそもそも無いわけですから、ネックの太さにもこだわりを持っています。
特にフェンダー系のボルトオンネックは、ネックの太さ=音の太さと言ってもいいくらいネックが重要になります。
手削りによる、しっかりした手に馴染むネックがBelialの特徴です。
ロッドは順反り&逆反り対応の2WAYを採用
Belialではどちらの反りにも対応できるよう“2Wayロッド”を標準採用しています。順反りにも逆反りにもセンシティブに反応する高性能ロッドですのでしっかりと調整できます。
ギターは木で出来ている生き物ですから、どのように変化するかわかりません。その点2Wayロッドは長期的に見ても安心です。
動作もなめらかで気持ちよく、音も良いロッドを色々試した中から選びました。








指板はアコギ16R、エレキ9.5R










指板のアールも弾き心地に大きく影響するポイントですので、エレキはチョーキング時の音詰まりなどにも強く、コードも押さえやすい9.5Rを基本にしています。
アコギは16Rを基本にしていますが、ご希望に合わせて20Rに削ったりフレキシブルに対応させていただいております。
ネックシェイプと相まって非常に手に馴染むベリアルのネックは一度弾いたら病みつきです。
バインディング貼りの風景
ギターを傷から守る目的のバインディングにはプラスティックを使用しています。低コストで傷にも強く、加工性も良いのでベリアルのコストダウンにひと役買っています。
アイボリー色でシンプルなルックスはベリアルのレトロな塗装に自然に馴染みます。









アコギのオクターブチューニングもこだわり




アコースティックギターのハイポジションのチューニングの悪さに悩んだことがあり、ベリアルではサドルの幅の中でのオクターブ調整にとどまらず、製作時に1本1本仮弦を張って、実際にオクターブチューニングを確認してブリッジを貼る位置を決めています。
見た目に真っすぐなことよりも、きちんとチューニングが合うことを最優先にしています。
コードを弾いた際の濁りの無いクリアなサウンドは感動的でさえあります。